ハラスメント問題
パワーハラスメント(パワハラ)はどこまで
Question
「パワハラ」という言葉は当然知っていますが、どこからが違法な行為になるのかがよくわかりません。
Answer
パワハラとは、1.優越的な関係を背景として、2.業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により、3.相手に身体的又は精神的苦痛を与える行為をいいます。
優越的な関係は、芸能界でもプロダクション経営者・スタッフとアーティスト・タレント間、監督・出演番組のプロデューサー・スタッフとアーティスト・タレント間など、ケースは多く、加害者にも被害者にもなる可能性があります。タレントの場合、キャスティング決定権を持つ監督・プロデューサー等とでは立場が弱いため被害者となりやすく、現場スタッフとの関係では指示や依頼を出せる関係にあるため加害者になりやすいといえます。
仕事の内容や状況は様々であるため、「必要かつ相当な範囲」は、どこまでなのかが分かりにくいですが、様々な要素(言動の目的、相手の問題行動の有無や内容・程度を含む言動が行われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、相手の属性や心身の状況、関係性等)を考慮して判断されます。このとき、「必要かつ相当な範囲」といえるかどうかは、加害者の主観や視点で判断されるわけではなく、客観的にみてどうかで判断されますので、加害者としては指導のために必要だと考えよかれと思ってとった言動でも、客観的にみてそうでなければパワハラであり、加害者の主観に基づく主張が通用するわけではありません。また、一つ一つの指示や要求では「必要かつ相当な範囲」を逸脱するように見えない場合でも、継続的に嫌がらせのような指導を繰り返すことでパワハラになることもあります。